悪意/東野圭吾
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/01/17
- メディア: 文庫
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東野の最高傑作の一つではないだろうか。ミステリとしては、最初は一見何の変哲もなく進行するが、キモは容疑者が逮捕された《後》にある。犯罪の裏に隠れた悪意そのものが、徐々に明らかになってゆく過程は実にスリリング。詳しくは述べないが、ドキリとさせられる内容である。12月と2月はナーバスになっているだけに。そして良く考えてみれば、救いがないように見えて、何気に人間への信頼を捨てていない。東野らしい結論だと思う。そして、救いを捨て切れなかったからこそ、この作品はミステリ的価値は高くなっている。一人称と三人称が入れ替わる、ある種のメタ構造も持ち、マニアにも興味深い仕上がりになっている。
とりあえず、私の友人たちにはお薦めできる内容。一般人には面白くないだろうな。