不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

燃える地の果てに/逢坂剛

燃える地の果てに〈上〉 (文春文庫)

燃える地の果てに〈上〉 (文春文庫)

燃える地の果てに 下 (文春文庫)

燃える地の果てに 下 (文春文庫)

 逢坂剛は本格だとか、多島斗志之は本格だとかいった脳味噌なしの発言を憎む私だが、こういう作品を読んでしまうと、「本格っぽ(以下略)」と思ってしまうのである。それもいい意味で。
 例によってスペインが舞台。冷戦構造真っ只中で消えた核弾頭が絡む。これ、どうジャンル分けしたら良いのか扱いに困ってしまう。スパイ、アクション、ハードボイルド、クライム、どれにしても据わりが悪い。ましてや本格なぞ。しかし、ミステリであることだけは間違いない。そんな作品である。とりあえず、ミステリのファンにはお薦め。この作品のどこに魅力を感じるかで、読者のスタンスがわかるような感もある。

 作品の性質上、これ以上深く突っ込みたくないので、あとは自分で読んでください。途中のベッドシーンはある意味強烈ですが、まあ気にするな。