不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

壜の中の手記 G・カーシュ

壜の中の手記 晶文社ミステリ

壜の中の手記 晶文社ミステリ

 晶文社が狂ったように始めた、ミステリ・シリーズの第三弾。時機を逸したため、残念ながら「このミス6位」の帯付き。かっこ悪いことこの上ない。

 が、その気分の悪さを補うくらい面白かった。
 「奇妙な味」という表現は嫌いなので別の言い方をすると、これはファンタジーであり、象徴性に彩られた法螺話だ。「そんなバカな!」系の話ではあるが、印象は不思議に重々しく、思わず考えさせられる要素がたっぷりある。内容は全然違うけれども、何となくピーター・ディキンスンを連想した。特に「ねじくれた骨」「時計収集家の王」「死こそわが同志」が好み。とにかく凄い短編集である。必読。

 また帯の話に戻るが、北村薫の賛辞の抜粋は、作品に対しての賛辞ではあるが作家自体は馬鹿にしており、ナニがアレである。コメント取り直すべきだったんじゃないか、と。