グランド・ミステリー/奥泉光
- 作者: 奥泉光
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2001/04
- メディア: 文庫
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一番気になったこと。視点人物の思考なり発言なりでわざわざ代弁させなかったら、「言いたいこと」の半分も読者に伝えられなかったであろう点。テーマや物語そのものを曖昧にぼかす、という姿勢をを持つ人だから、これはひょっとして致命的かもしれない。味のある文体でそれをカバーしているだけ、という疑いこれあり。
情景描写だけで決定的なことを伝える、というワザを、奥泉は絶対必要としているはずであり、にも拘らずそれができていないのは、読んでいてつらい。悪い意味での文学コンプレックス持ってそうで、本人に「しょせんエンタメでしょ」と言ってしまったら、梶原一騎と同じように殴りかかって来るような気もする。
何はともあれ、第一印象は、自分が書きたい文章を微妙に書けない作家、しかもそれに自覚的、というものだった。他の作品を読めば変わるかも知れぬ。またその時、感想を書こうと思う。