NHK音楽祭2010 NHK交響楽団
NHKホール 16時〜
- NHK交響楽団(管弦楽)
- アンドレ・プレヴィン(指揮)
3番でプレヴィンが指揮棒を下ろすや否や薄汚い声で3階席右翼から「ブラボッ!」と叫んだ男がいた。こういう人種に音楽を聴く資格などなく、さっさと死んでいただきたい。
演奏の方は金管特にホルンを除きたいへん見事なものであった。柔らかくブレンドされた音色で、角を取ったしっとりとした音楽が、適度な推進力を持ってなだからに奏される。特に3番では、特定のパートが際立たないように明らかに意図的に抑制された表現が聞かれ、なかなか面白いと思ったことである。転じて4番では、基本姿勢は変わらないものの曲趣およびオーケストレーションの関係上、全てをまろやかにするわけにも行かないのか、パートが自己主張することが絶無というわけではなかった。しかしこれも指揮者の制御下にきちんと置かれており、羽目を外すということは一切ない。……ホルンが音を外すのはN響の常にも増して*1たくさんあり、閉口したが。
個人的に興味深く聴いたのは、4番の3楽章とフィナーレである。ここまでブレンドされた音色で、さてあの例外的に派手派手しい3楽章をどう料理するのかと思っていたら、あにはからんやそのままのノリで突入。ブレンドされたままにリズムをもこもこと刻み、鈍重と言っても間違いではない演奏を展開。でもこれが結構様になっていて驚く。次のフィナーレでは、この楽章が変奏曲であることを感じさせず、スムーズにして雄渾な流れを作っていた。これまた非常に見事。ブラームスの4番は、ぼくの考えたブラ4としては、楽章単位で「嘆→鬱→躁→怒」と感情が流れる曲だと思っているわけですが、そんな拘りなど、このどっしり構えて全てをブレンドした演奏の前では何ほどの意味もないことを思い知らされた。
というわけで、ホルンを除けば非常に満足して家路につけたわけである。ホルンを除いた各奏者とプレヴィンには感謝申し上げたい。
*1:ということは四六時中ということである。