不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

NHK交響楽団第1674回定期公演

NHKホール 15時〜

  1. 武満 徹:ノスタルジアアンドレイ・タルコフスキーの追憶に(1987)
  2. ブルックナー交響曲 第7番 ホ長調(ハース版)

 非常に丁寧な指揮と奏楽で好感が持てた。テンポや造形など、全てにおいて中庸を行くんですが、冷たい印象はない。武満徹の透明な情緒、ブルックナーの広壮な音楽伽藍を、あくまで誠実に描き出していく。ブルックナーのフィナーレだけは意図的に盛り上げていたように思いますが、それも「恣意」からは程遠く、この交響曲が第一楽章のテーマにより統一されていることを高らかに示して、堂々と締めくくってました。この交響曲で多くの人が聴きどころと認識する、第一楽章と第二楽章も、華美に走らずじっくり構えた、ふくよかな音楽になっていたと思います(角を矯めてたわけじゃないよ!)。スケルツォも迫力十分。何より、オケの響きそのものが充実しています。幸せな70分でした。
ノスタルジア》も確かな手ごたえを感じさせました。堀さんのソロは、華には欠けるが立派なもので、弦楽器だけに刈り込まれたオケと軌を一にし、美しいハーモニーを奏でていました。簡素なサウンドから成るこの曲に込められた、心からの哀悼の意を、うまく表現していたと思われます。
 本日もまことに結構なお手前でござった。特に弦。このコンビ、益々好調ですね。ところでカーテンコール時に、楽団員から指揮者に花束が渡されてたんですが、あれは何でしょうか?