時砂の王/小川一水
- 作者: 小川一水
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 文庫
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わずか250ページちょっとの作品で、読みやすいし登場人物造形もシンプルなのだが、話のスケールは無闇に大きい。全ての歴史分岐において人類を守ろうとする企て(結構失敗してしまう)が素敵である。敵が攻めてくる理由も壮大なもので、尺に似合わず、時間SFとして色々詰め込まれた作品であると思う。
主要舞台を邪馬台国の時代に設定し、主要登場人物を絞り込むことで、コンパクトにまとめ上げているのは高く評価したい。やろうと思ったらいくらでも爆発させることができるネタで、広くおすすめできるシンプルな娯楽作品に仕上げることの凄さ、素晴らしさ。適度な感傷も実にいいですねえ。
*1:なお彼らに生殖能力はなく、身体能力も抜群に高いが、精神構造および基本的な肉体構造は人類とほぼ同様……と考えて差し支えなさそうである。実際オーヴィルは普通人類の女性と恋愛関係ならびに肉体関係を取り結ぶ。