ウースター家の掟/P・G・ウッドハウス
- 作者: P.G.ウッドハウス,Pelham Grenville Wodehouse,森村たまき
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 単行本
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
今回については、バーティの扱いもまた特筆すべきだろう。この主人公は、いつもいつもそのバカさゆえ懲らしめられてきたが、そのバカな言動も、一朝友に事あらば馳せ参じる高潔な精神ゆえだった。そんな彼も遂に、ある程度報われる。このバカもまた愛されていたことが、はっきりと示されるのである。その事実に、シリーズ読者としては感動せざるを得ない。そしてジーヴスが意外な付き合いの良さを見せ、準レギュラーたちは信じられない愚行の数々を繰り広げ……。嗚呼、彼らは、彼らは何と愛すべきバカどもなのだろう!
「バカ」という言葉が誉め言葉に使われることに抵抗のある方も多くいらっしゃるだろう。しかしそれでもなお私は『ウースター家の掟』にこのような言葉をかけざるを得ない。バカとは、極めればこれほどまでに素晴らしく、これほどまでに感動的になり得るのだ。まさに必読、バカの金字塔、バカのバカによるバカのための渾身のバカ小説である。バカ万歳!