ジーヴズの事件簿/P・G・ウッドハウス
- 作者: P.G.ウッドハウス,岩永正勝,小山太一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/05/27
- メディア: 単行本
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内容に目を向けると、やはり本当に素晴らしい。伏線とその回収は絶妙におこなわれ、お気楽馬鹿旦那バーティの一人称も愉快愉快。その一方、「バーティ君の変心」で一人称を務めるのはジーヴズであり、彼の腹黒さが顕在化している。更に、本シリーズの原型となった「ガッシー救出作戦」も収められている。馬鹿旦那が事態を紛糾させるのは共通だが、執事がほとんど意味をなさない。これまたファルスで面白く、シリーズのルーツを知るという興味以上に楽しませてもらった。まさに極上の短編集である。入門書として広くおすすめしたい。
ただし、訳は森村たまきの方が上手か。好みの問題という側面もあろうが、彼女の方がこなれていて、キャラや物語により親しみやすい。