血まみれの鷲/クレイグ・ラッセル
- 作者: クレイグラッセル,Craig Russell,北野寿美枝
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/11
- メディア: 文庫
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シリアル・キラーに翻弄される捜査陣とハンブルクの町を、シリアスかつ重厚に描いてゆく。拡大した捜査線と、刑事たちの人間ドラマを心行くまで堪能できる一冊。これ見よがしのミステリ的ケレンこそないが、犯行の狂気をしっかり描き込み、その裏事情もスケール豊かに非常にがっちりと固めている。ストーリー上でも色々起きるので、読者を飽きさせない。完成度の高い上出来の警察小説+サイコ・サスペンスとして、お薦めできる作品だ。
しかし、問題は、これではまるで正気のマイケル・スレイド、という点だ。作者に帰責事由は全くないものの、スレイディストが物足りなく感じる可能性は高い。スレイディストではない私ですらそう思ったのだから。しかし、スレイドを評価しない層には、かえって好評かもしれない。現時点では、世評がどうなるかちょっと見当が付かない感じ。