禿鷹狩り 禿鷹Ⅳ/逢坂剛
- 作者: 逢坂剛
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/07/14
- メディア: 単行本
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シリーズ最終巻までそれはぶれなかった。禿鷹を殺すためヒットマンが選ばれ、警察内部でも禿鷹を追い落とすべく強烈な女性刑事が派遣される。そして禿鷹にかしずく女性は、前作で因縁のあった人物で仲間とは言いがたい。いわば内と外にも敵だらけとなった禿富が、どのようにこの難局を乗り切るのか。或いは乗り切れないのか。そして相変わらず(言動の当初は)謎に包まれる禿富の目的。
ミステリ的な仕掛けも一応用意されており、物語の構成もうまいものだ。シリーズ開始当初に比較すると切れ味が鈍い気もするが、まあ特に問題視するには当たらない。なぜなら、このシリーズの魅力は一にも二にも禿鷹の設定に拠って立つからだ。彼さえ特徴的に描き出されていれば、それで良いではないか。最初から最後まで(文章に特殊な嗜好や拘りがある人種を除き)一気に読み通すことができる快作といえよう。シリーズの終幕を、まずは寿ぎたい。