不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

真珠の砦/マイクル・ムアコック

メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

 かつては大帝国だったが、今は砂漠の一都市に身を落としたクォルツァザートとその周辺を舞台に、伝説の真珠を巡るエルリックの冒険を描く。ストームブリンガーと別れて夢の世界へ踏む込む、そんな設定からして素晴らしいような気がした。
 『メルニボネの皇子』の17年後に上梓されただけあって、ムアコックの筆は更に練達の度合いを強めている。キャラも情景の鮮やかさも向上している。プロットも手が込んでおり、SFっぽい設定さえ垣間見れて実に楽しいひとときを過ごせた。ストーリーテリングも相変わらずうまいなあ……。やはりこのシリーズ、読んでいこうと思った。