不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

海賊モア船長の憂鬱/多島斗志之

海賊モア船長の憂鬱

海賊モア船長の憂鬱

 『海賊モア船長の遍歴』で述べた感想がほぼそのまま当てはまる。ただし新機軸として、主要な視点がモア一味以外に設定されている。敵サイドの事情も描き込まれるので、より一層戦いを楽しめるというわけだ。その他、機転の利いた戦術・戦法もよく練られており、サイドで進む《消えた東インド会社社員とダイヤモンド》も虚々実々の駆け引きが楽しめる。というわけで、今回も万全の傑作。値段はちょっと高いがそれがどうした。