フランス鍵の秘密/フランク・グルーバー
- 作者: フランク・グルーバー,仁賀克雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/09/09
- メディア: 新書
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というわけでなかなか面白いのだが、《アメリカ版フーテンの寅》という帯は意味不明、理解不能。訳者は確かに、解説でジョニー&サムと車寅次郎のどうでもいい共通点*2を指摘した。しかし、いかに彼でもそれを帯に使うほど鼻息荒くは書いていない*3。であれば、誰がこんな失当極まる惹句を帯に掲載することを決定したのか。《男はつらいよ》的な要素など『フランス鍵の秘密』には皆無である。この帯では双方のファンの激怒を買うだけだ。『アルレッキーノの柩』のこともある。最近の早川書房はちょっとどうかしているのではないか。ひょっとして異常に使えない編集者が入って来たのだろうか。
なお、訳者自身は、フーテンの寅以外にもこのようなことを、さも当然のように飄々と書いている。フロスト警部はドーヴァー警部と同系統のブラック・ユーモアもの。スラプスティック・ミステリはトニー・ケンリック以降見かけない。今はノワールの時代である。グルーバーの書誌学的なデータは「らしい」「だそうだ」「といわれている」の乱舞。まさに圧巻。
小泉純一郎は中曽根康弘・宮沢喜一・橋本龍太郎を引退に追い込み、綿貫民輔と亀井静香を追放した。彼らと比べて、仁賀克雄の粛清が一体なんだというのか。私は全ての出版社、全ての業界人、全ての小説好きに聞いてみたい。仁賀克雄は今、本当に必要ですか?