カーテンの陰の死/ポール・アルテ
- 作者: ポール・アルテ,平岡敦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/07/15
- メディア: 新書
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さて、アルテはカーと関連付けられて語られることが未だに多い。しかし思うに、カーとアルテの最大の差異は、スマートなミステリなっているかどうかだ。端的に言って、アルテはお洒落である。常に安心して読める腕の確かさ。アルテは名職人であり、読者としても、ほうほうと言いながら愛でる感覚が強い。だがカーは違う。作品全体に妙な熱気があり、最後まで何が飛び出すか予想できず、そればかりかヘタウマのノリで読み込んでいる自分を発見することが多い。だがそこには間違いなく原初的な熱狂がある。作家としての性質がかなり違うように思われ、同一ベクトル上で語ることはそろそろやめてもいいんじゃないかな、と考えたりするのだった。