不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

4000億の星の群れ/ポール・J・マコーリイ

4000億の星の群れ (ハヤカワ文庫SF)

4000億の星の群れ (ハヤカワ文庫SF)

 お前らはパペッティアを越えた……!
 『4000億の星の群れ』は、とある星で知性の有無を調査する物語である。背景には、ある星域で異星文明《敵》との戦争が現に行われている、という事情がある。ひょっとするとこの星にも《敵》の息がかかっているんじゃないか、ということを軍は警戒している。
 主人公の女性科学者が《能力者》、まあ一種の精神感応能力者なんだが、割と頻繁にトランス入って飛んでしまうのが作品を第一に特徴付けている。このトランス・シークエンスがとても華麗でなかなか面白いのである。他の部分も思弁的・思索的な文章が続く。嫌いじゃないです。そして、だからこそあのオチも決まる。決まってねーよと言う人もいるでしょうが。
 三部作の第一作らしいが、この惑星探検記みたいなのからスペオペ化するらしいので、続刊を楽しみしようと思う。ていうかちゃんと出してくれるんですよね?