不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

東京都交響楽団

  1. コープランド:バレエ組曲ビリー・ザ・キッド
  2. コープランドクラリネット協奏曲
  3. ドヴォルザーク交響曲第9番ホ短調Op.95《新世界より
  4. (アンコール)コープランド:バレエ組曲《ロデオ》より《ホー・ダウン》

 都響の新常任指揮者に就任したデプリーストを聴きに行く。
 《ビリー・ザ・キッド》は個人的にはつまらない曲だと思っているのでノーコメント。ただオケはしっかり鳴っていて一安心。協奏曲は、ソロの独壇場。カデンツァで若干音がかすれたのは残念だったが、珍しい曲をなかなかのレベルで聴けたので喜。
 さて、後半のドヴォルザークだが、感心半分不満半分といったところ。激しいところは激しく(そして快速に)、メロディーの聴かせどころはテンポを落とし、という感じの演奏だったが、そのギアの切り替えが急激、要するにアッチェレランドとかリタルダンドとかがない。そして、このテンポの変化以外、音楽作りは基本的に一本調子であった。せっかく遅くしても、メロディーに耽溺しよう/させようというわけではなく、早い部分も音楽を突進させるわけではない。本当に、単純にテンポが変化するだけなのだった。なにやら非常にデジタルな印象を受けたわけである。
 とはいえ、前半に引き続き、オーケストラはよく鳴っていた。パートバランスや音量の増減もよくコントロールされており、また曲の構造自体はじゅうぶん把握した演奏と思われ、クライマックスではなかなかに盛り上がった。まあいいんじゃないでしょうか。問題は次にこのコンビ聴いたとき、何らかの進展を窺えるかどうかですな。