神狩り2/山田正紀
- 作者: 山田正紀
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2005/03/19
- メディア: 単行本
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"〜なことはあり得ない。あり得るはずがない。だが〜であるとすれば、〜とも考えられる"
"○○は本来こんな人間ではない。しかし、このような事態を目の当たりにすれば、いかに彼でもこのような言動を取らざるを得ないのだ"(○○の初登場2ページ後)
ここら辺が癇に障る。前者は大幅な紙数の水増しとしか思えず、後者は的確な人間描写の放棄および能力欠如の居直りに過ぎない。いずれも地の文というのが致命的。他にも、作者が読者の受けるべき情動を明文をもって指定してくる部分が多過ぎ。アイデアや物語の構造そのものはかなり面白いだけに、たいへん残念である。失礼千万の極みを行けば、作者が山田正紀でさえなければ大傑作となっていたであろう。
とはいえ、《私は、このような小説作法が大嫌いなのである》という前提条件を省けば、テンションが高く、一人の作家が全てをぶち込まんとした大作であることは疑いなく、高く評価できる。前作から広げに広げた風呂敷を、壮大に畳み始めるまさにその時、物語が終わる、そのタイミングも絶妙。こういう最高のケレン味と、先述の私が嫌いな文章とは、密接に関連していると思しいため、私は山田正紀に対して複雑な想いを抱かざるを得ないのである。年末ベスト等を獲得しても、当然かとは思います。