不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

カジノを罠にかけろ/ジェイムズ・スウェイン

カジノを罠にかけろ (文春文庫)

カジノを罠にかけろ (文春文庫)

 ラスベガスのあるカジノに現れた、正体不明のイカサマ師。だが彼の手口がわからない……!
 というノリで始まる、軽妙なサスペンス小説。六十歳を越える男を主人公に据え、彼が尻拭いに奔走する駄目息子も三十路に踏み入っているなど、平均年齢は高めで推移するのも特徴。各キャラが立っていて結構楽しい。ストーリー展開も快調だし、これでもう少し手口が入り組んでいたら良かったのにと思われる。捜査側視点で進むので、イカサマがばれるかもという冷や冷や感がないのも、個人的には少々残念。ただ、小粋な佳品ではあり、息抜き読書には向いている。それなりにお勧めはできる一冊といえるだろう。