不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

塔上の奇術師/江戸川乱歩

江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人 (光文社文庫)

 『夜光人間』ほどではないが、『塔上の奇術師』も、少年探偵団ものとしてはなかなかの完成度を誇る。怪しい時計塔に怪しい人物。世間をあっと言わせようと町に出ず、せいぜいご町内の狭い範囲に話がとどまる(というか、メインは時計塔を抱く屋敷の中)のも、話がまとまるためには有効に機能する。難点としては、四十面相が早くから正体ばれ過ぎというのあるかもしれない。ここは是非、変な怪人に扮してもらいたかったところだ。