夜光人間／江戸川乱歩

江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人 (光文社文庫)

　少年探偵団ものの中でも、『夜光人間』は上出来の部類に入ると思う。不気味な怪人、それなりに頑張る小林少年とポケット小僧、乱歩の必殺技（エレベーター！）、明智と四十面相がお互いに化け合うプライドの激突など、種々の要素がてんこ盛りだし、話も比較的まとまっている。少年探偵団ファンにはお薦め。
　だが、あからさまに怪しい夜光人間も、昼に見るとただの血色の悪いおっさんなのである。そんなおっさんとして、四十面相は不気味な笑みを浮かべつつ少女探偵に迫るのだった。その姿に一抹の物悲しさを感じるのは、私だけだろうか？