2005-02-14 最後の一壜/スタンリイ・エリン 小説 最後の一壜 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: スタンリイエリン,仁賀克雄出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/01/14メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (26件) を見る エリン最新の、そして恐らく最後になるであろう(ガセでごぜえやした……)短編集。相変わらずアベレージがとても高く、実に素晴らしいひと時が過ごせる。とはいえ、『特別料理』『九時から五時までの男』で見せた、異常な切り口で「ぞっとさせる」面は後退しており、代わりに、練達の名手の小品が陳列された画廊のような、落ち着いた印象を与える。心温まる話も少なくない。いい意味で丸くなり老成した作家の姿……と言ってしまっていいのだろうか? もちろんそこはエリン、狂気や皮肉はそこかしこに潜んでいるわけで、油断するべきではない。 水準が揃っており、いずれもエリンの味がするので、好き嫌いでさえチョイスすることは困難を極めるが、個人的には、ラストで思わず考えさせられる表題作かな。