不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

アンサンブル・ノマド

  1. ジョナサン・ハーヴェイ:ナタラジャ
  2. ラダメス・ニャタリ:トッカータ・イン・サンバリズム
  3. 米倉香織:アリア・フォー・アス
  4. ロッシーニ:チェロとコントラバスのための二重奏曲より、第二楽章&第三楽章
  5. マデルナ:甘い夢
  6. シルベストレ・レブエルタス:3つの小品
  7. 福士則夫:パラクタシス
  8. セルジオ・アサド(アサド兄弟の一):ジョビニアーナ第2
  9. ホリガー:二重奏曲
  10. ライリー:In C
  • 佐藤紀雄(ギター)
  • 西澤幸彦・木ノ脇道元(フルート)
  • 菊地秀夫(クラリネット、サックス)
  • 野口千代光*1(ヴァイオリン)
  • 甲斐史子(ヴァイオリン、ヴィオラ
  • 菊地知也(チェロ)
  • 山本修コントラバス
  • 稲垣聡(ピアノ、キーボード)
  • 中川賢一(ピアノ)
  • 入江要介(尺八)
  • 鮎沢京吾(三味線)
  • 花岡聖子(二十五絃筝)
  • 木村麻耶(十七絃筝)
  • 北村和佳奈(十三絃筝)

 ずらずら並べたが、本日の演奏会は「メンバーによるミニ・アチュール」と題し、前半には2〜3楽器による現代音楽の小品を並べています。ロッシーニは例外だが、とても変則的な編成なので取り上げられたのだと思われる。第一楽章を弾かないプログラミングは、思わせぶりでいい感じだ。で、後半は全員出て来た上に和楽器(ゲスト)も交ぜ、テリー・ライリーの代表作一曲で勝負。ミニマル・ミュージックの代表作でもあるので、30分くらいかかる大曲だが「ミニ・アチュール」というテーマに沿っている。
 前半はロッシーニを除くと、初めて聴く曲。未知の曲に会うのは、いくつになっても独特な緊張が感じられて楽しい。
 《ナタラジャ》は曲名通り激しい曲で、リズムが破綻しているのもまさに破壊神。フルートとピッコロの忙しい持ち替えも楽しい。《トッカータ・イン・サンバリズム》は普通にメロディーがあって眠くなりました(申し訳ない)。《アリア・フォー・アス》は本日の演目中一番好きかもな曲。ヴァイオリン属の衝突、弛緩と緊張、静寂と騒音がめまぐるしく、耳を釘付けにする。ヴィオラ奏者がヴォカリーズで歌い出すのも楽しかった。《甘い夢》は、フルートよりも、ピアノの弦を直接触って音を出すのが面白かったが、肝心のホケットを聴き取れず。すいません。《3つの小品》は暴れるヴァイオリンが印象的。これも好きかも。《パラクタシス》はクラリネットコントラバスの対決という趣。《ジョビニアーナ第2》はこれまたメロディーのある曲だが、フルートとギターという編成が独特。《二重奏曲》はヴァイオリンとチェロによる非常に濃厚な音楽で、これもまた気に入った。
 ……なんかこうやって見ると、俺が弦楽器好きなだけなんじゃないかという気がしてきたぞ。
 で、後半の《In C》。先述のように、尺八・三味線・絃筝および和太鼓まで持ち出しての和風ヴァージョン。しかし違和感ゼロ。分厚いハーモニーに溶け込んでいたというか、呑まれていたというか……。なお、和楽器奏者は全員まだ若く、ひょっとすると学生かもしれない。尺八の異様な風体*2が凄かった。有名度がよくわからん。ちなみに私、この曲はそんなに好きでもないので、特に感激したとかはないです。

*1:どうでもいいことかも知れんが、「光」を「こ」と読ませます。当然女性。いや、こういうケースに初めて出くわしたもので。

*2:暗くて見にくいが、基本はワカメちゃんカットで、耳の横は胸まで延ばしてます。腕とか足にはなぜかプロテクターが……。もし彼に某ドクター太郎が町で出くわしたなら、凝視のみならず指をさし、大声でコメントするであろう。