不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

NHK交響楽団

  1. リムスキー=コルサコフ:序曲《ロシアの復活祭》
  2. ストラヴィンスキー交響曲ハ調
  3. チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

指揮はシャルル・デュトワ、ピアノ独奏は上原彩子

 楽団員のページで、デュトワの体調が悪い由伝えられていたため心配していた。実際、元気そうに振ってはいるのだが、微妙に背中の張りというか、肩の動きとかがおかしく、無理してアクションを大きくしている感じ。指揮台に上るのも若干大儀そうな上に、コンチェルトでは椅子に座ってましたな。まあ彼も歳だし(1936年生まれ)、仕方ない。サヴァリッシュのようなよいよいにはまだなっていないし、そもそもちゃんと振れているから出て来る音楽自体に問題はない。しかしデュトワは「かっちりわかり易く振る」指揮者なので、体が動かなくなると、それは彼の音楽人生の終わりを即意味する。的確に振れなくなったデュトワなど、もはやゾンビでしかあるまい。この分だと、賞味期限切れは案外近いかもしれない。ファンは急がねばならないかも。
 リムスキー=コルサコフストラヴィンスキーは良かった。特にストラヴィンスキー! この作曲家にあって、交響曲は浪漫派的な自己表現ではなく、古典派的な音の戯れなのだと改めて感じた次第である。ただしそこに音色の戯れが含まれているのが、モダン性を担保しているのかもね。第2楽章における茂木のオーボエも素晴らしかった。乙です。
 しかし後半が、上原彩子がいかん。何だこの女。ミミズがのたくったようなピアニズム。メリハリも緩急もなく、情感の表出なんかも無視、オケに合わせるでもなく喧嘩を売るでもなく、得手勝手に弾いているだけ。ただただダラダラと時間が流れる。アホか。いや確かに打鍵は力強いから、垢が詰りに詰まった耳とか、その神経が脳につながっていない耳にはよく映えると思いますよ。実際、会場は沸き返ってましたな。デリカシーもへったくれもない奏楽、そして私にとっては謎でしかない人気の高さは、容易にピロコ(カレーのおばさんの蔑称)を連想させる。ピロコやフジ子(もっともこいつらは本当に下手なので、一緒にしては上原がさすがに可哀想かも)同様、上原は今後パージしよう。それこそ、こいつがソロやるってだけで当該コンサートには行かないということで。頼むから、俺お気に入りの指揮者や楽団のコンサートには出て来るなよ。事務所も出すなよ。ヤマハもこいつ支援する暇があったら、自分の音楽教室でもっと別の奴育てな。こりゃ駄目です。俺コンサートで久しぶりにぶち切れましたよ。ブーイングすべきだったかなあ。