不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

読売日本交響楽団

 曲目は、ヤナーチェク組曲(Op.3)、同:交響詩《タラス・ブリーバ》、ヒンデミット:ホルン協奏曲、ヤナーチェクシンフォニエッタ。ホルン独奏は山岸博、指揮はゲルト・アルブレヒト

 この私が、生誕150周年であるにも拘らず実演でヤナーチェクを一曲も聴けない、という屈辱の事態は、この演奏会で一応回避された。一応というのは、三曲中、《タラス・ブリーバ》にシンフォニエッタが、しょせんはどメジャー曲である点だ。他の年でも聴ける曲なわけで、ちょっと残念ではある。色々あって他の演奏会には行けないため、仕方ないのだが。
 で、演奏の方だったが、まあ水準。アルブレヒトはすいすいと事を運び、特に見せ場を作ったりもせず、曲をあるがままに、普段着の姿で見せてくれた印象。面白かったのは、ヒンデミットの曲が始まった途端、「あ、全然違う音楽だ」と思えた点である。ヤナーチェクは割に荒削り・素朴な作曲家だが、ヒンデミットは非常にクレバー。対置することでそれが明示される辺りが、プログラミングの妙味である。若干暑苦しいヤナーチェク名曲プログラムに吹いた、一陣の涼風といった印象であった。