十人の戒められた奇妙な人々/倉阪鬼一郎
- 作者: 倉阪鬼一郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/07/26
- メディア: 単行本
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恐らくだが、『無言劇』『42.195』よりも、この作品が倉阪本来の持ち味、ということになるのだろう。変な作品ではあるが、文章に味があるのは素晴らしい。また、持ち球の多くない作家だと推測されるだけに、自分の使える《道具立て》を全て並べたような、ある意味出血大サービスな空気も好ましい。黒がかった製本も印象的、何はともあれこの作家への入門には適していると思う。
最後に一言だけ。《十戒》でこのオチは、間違ってこそいないが、若干ずれているように思う。そのため蛇足臭を嗅ぎ取ってしまったのは、とても残念である。絶望的にして骨の髄まで後ろ向きなラストは、個人的に大好きなだけに。