物狂い/土屋隆夫
- 作者: 土屋隆夫
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2004/04/21
- メディア: 単行本
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なお、いくら田舎でも幽霊はこんなに簡単に信じられません、などと抗議する人も多いかもしれない。しかし田舎とは実際こんなものだと思うし、都市伝説のことを考えれば、大都会だって実態はそれほど変わらない。そもそも、このような小説を何の疑いもなく書いてしまう作家の存在自体が(いくら年寄りだとしても)、現代人にもまだまだ怪談を〈信じる〉層がいることを証明している。要するに、人間は千差万別でありピンキリである。世代間の隔たりも大きし、地域差も歴然としている。個人差ももちろんたいへんなもので、頭のいい人は本当に頭がよく、そうではない人は徹底的かつ致命的だ。
しかしそれでも皆生きている。生きていける。それこそが、人間の素晴らしさでもあり、同時に限界でもある。