不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

妖怪博士/江戸川乱歩

 少年探偵団シリーズでも、ここら辺になると変な思い入れは薄まって、普通に読める。そこで思うのは、やっぱ子供騙しだし、作者が煽るほど怖くはないということである。特に大蝙蝠なんて、たとえ洞窟の中で見たとしても爆笑を禁じ得ない。しかもこの場合、ピストルは持つわ、バタバタ走り回るわ、首は出てるわ……。

 だがこれはこれで良いと思う。全体的には無邪気な稚戯でしかない一方、玩具として使われるガジェットは、その内容をよく考えてみると結構不気味。このギャップが得も言われぬ情感を生み出すのだと、今のところは言っておきたい。場末のお化け屋敷みたいな感じかな。

 どこがどう『妖怪博士』なのか不明だが、そこそこ楽しめる作品ではあった。