不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

無法地帯/大倉崇裕

無法地帯―幻の?を捜せ!

無法地帯―幻の?を捜せ!

 プラモやフィギュア等のオタクを描く、アクション長編。『七度狐』とはえらい違いで笑った。

 だが、作品の内容にはやや否定的な見解をとる。
 題材も題材だが、腕っ節の強いごろつきと私立探偵(二人ともオタク)がヤクザ等をボコボコ殴り、倒し続けることで物語は進む。そこら辺の展開手法がちと一本道かと。致命的なのは、アクションシーンがワンパターンで、ピンチになることもほぼ皆無な点だ。ミステリ的な趣向も、伏線の張り方が少々甘いのは問題だろう。

 芸風の広さは見せ付けた作品だと思う。まあ波もあらあね。次回に期待。