総統の子ら/皆川博子
- 作者: 皆川博子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/10/24
- メディア: 単行本
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皆川博子は、ヒトラー・ユーゲントの少年たちを、宮部以上にショタ的筆致で、ただし圧倒的に格調高く描出する。ただ事ではない少年らしさは、単なる妄想ではない幻想性さえ孕み、祖国と民族に、純真に自分を捧げる悲劇性を強調する。
しかしなぜこの物語はかくも空しい悲劇に陥ったのか? ナチス=ドイツが悪だから? それとも、ナチス=ドイツが敗者だから?
私は、話をこれ以上進めない。ナチス=ドイツは恐らくまだまだ、歴史になれない。これより先、政治領域。趣味の日記で政治を語る愚だけは冒さない。これはこの日記の、数少ない枷の一つだ。