孤島の鬼/江戸川乱歩
- 作者: 江戸川乱歩
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2003/08/08
- メディア: 文庫
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本日はとりあえず、『孤島の鬼』の方だけ感想を書く。実は初読。乱歩の最高傑作も知らないで今まで色々言ってたのかと軽蔑されそうだが、尊敬されたくて色々言ってたわけじゃないから、俺は気にしない。老後の楽しみに取っておいた、という理由も一応あるのだが。
で、私もこれは傑作だと思う。推理、怪奇、冒険、ゲイ、恋。通俗の要素がてんこ盛りかつハイテンション。八方破れてそれでもなお浪漫に必死に手を伸ばす作家・乱歩の面目躍如。そして重要なポイントは、この作品が「八方破れていない」という点である。鬼に金棒であり、高い評価も頷ける傑作である。とは言え私にとっては、破綻した乱歩の方がツボ。無論「素晴らしい!」とは思ったが、乱歩を「すんなり」読み通せるのは違和感がある。それが認識できた点で、個人的にも実り多い読書であった。
ふと思ったのだが、『八つ墓村』と『孤島の鬼』って、何となく似てませんか?