法月綸太郎の新冒険/法月綸太郎
- 作者: 法月綸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/07/16
- メディア: 文庫
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「イントロダクション」
こういう風に遊ぶのは好かん。
「背信の交点」
作者の自信ほど面白くは読めなかった。人工性が鼻につく?が、悪くはないと思う。
「世界の神秘を解く男」
オカルトネタが何となくミスマッチ。無駄に長い気も。
「身投げ女のブルース」
葛城警部を主役とする、渋くて切れ味は鋭い作品。傑作かも。
「現場から生中継」
ネタに大きな不満を感じる。これが限界なら、作品化しても仕方ない(極論)。
「リターン・ザ・ギフト」
かなり好み。特に最後の一言には納得。こういう発想が出来る限り、法月は死なないだろう。
で、思ったのだが、当時と比べ私自身が本格から遠ざかってしまった。法月綸太郎というキャラクター、割と好きだったはずなのである。しかしもはや、過剰なまでに名探偵であり続けようとの志向が癇に障るのだ。「人」としての名探偵像を確立しようとする試み、それ自体は大いに評価すべきだろうが、私の趣味は、そのような方向性と完膚なきまでに相反するようになったのだ。名探偵は「神」であるべきだ。神の死体に用はない。法月綸太郎が登場せず(影から親父に指示を与えているが)、警視が警察官らしい「身投げ女のブルース」を好むのは、それを端的に証明するものである。
私のこの変化は、成長なのか、老化なのか、そして、誰でも辿る道なのだろうか?