最上階の殺人/アントニイ・バークリー
- 作者: アントニイバークリー,Anthony Berkeley,大沢晶
- 出版社/メーカー: 新樹社
- 発売日: 2001/08/01
- メディア: 単行本
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とにかくチクチクネチネチといやらしい。その大半が、本格ミステリそのものと、それを盲目的に愛する者に向けられているのも、実にいやらしい。しかも、凄まじいのは、バークリーが本格を「わかって」いるからだ。ネタも展開も発端も、本格ミステリ的ラブコメ手法も、彼はすべてを自家薬篭中のものとしているのだ。なおかつ、すべてを揶揄のために浪費するという神業。「お前、本格知りもせずに……(怒)」という反抗を、彼は完全に封じ込めることが出来る。本格の本尊の一人に、その手の批判などできようはずもないこともまた、彼は自覚していたに違いない。この性根の腐り具合! 最高である。
大傑作にして、必読の書。しかしながら、本格萌えには薦められない。そんな一冊であり、作家である。