いまひとたびの生/ロバート・シルヴァーバーグ
- 作者: ロバート・シルヴァーバーグ,佐藤高子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1977/08
- メディア: 文庫
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仏教の輪廻転生が実現したかのような世界設定のもと、ポールの魂の争奪戦を主軸に、ノーイエスと彼のパーソナの対立(そりが合ってない)、パーソナ移植を経たライサの成長などを描く。かなりサクサク進む話で、SF設定を手際よく解説してゆくとともに、涅槃の概念を盛り込むことで《死者の魂がもう一度甦る》ことの神秘性をあますところなく醸成する。パーソナが生者を乗っ取る《ディバック》という現象の存在もなかなか重要だ。またライサのパーソナの死の謎を探る段もあるなど、ミステリ要素もある。一編のSFサスペンス映画を見るように読める、とても楽しい娯楽小品といえよう。
ワールドコン
「スチームパンク/歴史改変」にまず行ってみた。荒巻義雄、高野史緒、宇月原晴明、永瀬唯がパネラーで司会は新戸雅章。まずこの顔触れだけでお腹いっぱい。なぜ作家は歴史改変をするのか……といったテーマだったはずなのだが、結局、理論武装しないと迫害される時代を担った自負のある荒巻氏と、好きなことを好きなようにリコンストラクションすれば良い時代にデビューした高野・宇月原両氏の創作姿勢の差、この場合はつまり世代差が際立っていたように思う。にしても荒巻氏、74歳でトーク時のあの滑舌と反応の良さは立派なものです。
次は「SF翻訳というお仕事」。浅倉久志、山岸真、嶋田洋一、海老原豊、そしてジーン・ヴァン・トロイヤーがパネラー。設問が若干抽象的でしたが、笑いあり驚愕ありの良い企画でした。トロイヤー氏の日本SF翻訳のやり方がかなり超訳過ぎなのと、そう言われた際の他のパネラーの目が泳いでいたのが可笑しかったと同時に、この日本人翻訳者4名はやっぱり大丈夫だと思った。
続いては「ニューウェーブ/スペキュレイティブ・フィクション」で川又千秋と飛浩隆のご尊顔を拝した後、飯野文彦氏のサイン会へ。OB会で貰ったらええやんという気もするが、興奮冷めやらぬ内にというのも一興。面も通ってないしね。そしてその後のラリイ・ニーヴンのサイン会は、かなりの列。本を持ち合わせず、公式プログラムにサインしてもらいました。
夜はcatalyさん幹事の若者オフへ。この中では高齢者、という人が多い席でビールばかり飲んでおりました。規定に反していないとはいえ、こんなおっさんが顔を出して良かったのか? 話の内容はかなりがっつりした本の話で、とても楽しかったです。