ヘッドハンター/マイケル・スレイド
- 作者: マイケル・スレイド,大島豊
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/09/10
- メディア: 文庫
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- 作者: マイケル・スレイド,大島豊
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/09/10
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スレイドの諸作を通底するテーマは、カナダ=北米のルーツ、よりはっきり言えば先住民/白人/黒人の衝突の歴史である。『ヘッドハンター』も例に漏れず、先住民族のシャーマニズム、黒人のヴードゥーが登場し重要度の高いモチーフとなる。しかしこれ以外にも種々雑多な要素がぶち込まれ、「手数が多けりゃいいだろ」的なB級オーラが全編を覆っている。実に楽しい。しかも登場人物はそれぞれに事情を抱え、ベースの雰囲気は無駄に深刻。このギャップとクセの強さ、もう最高。とはいえ後年に比べれば全てにおいて気持ち大人しく、プロットの錯綜もこの作家にしてはよく抑えた方だろう。要するに、比較的整理された作品というわけで、作者の意図・目標もその分わかりやすい。スレイド入門には適している。
というわけで、『髑髏島の惨劇』で、悪魔云々のペダントリー(しかも参考文献そのままっぽい)が延々と続く前半、やっと始まったはいいが都市伝説そのまんまの殺戮*1が吹き荒れる後半に、「なんじゃこりゃー」と悪印象を受けた人には、是非こちらで再入門してほしい。
*1:トイレとかな。