不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

NHK交響楽団

 事前に色々と変更になった演奏会であった。当初予定は以下の通り。

  1. ストラヴィンスキー:協奏曲《ダンバートンオークス
  2. ヤナーチェクシンフォニエッタ
  3. ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ヴァイオリン独奏:ニコラス・ズナイダー
指揮:シャルル・デュトワ

 ところが、最終的にはこういう感じに。

  1. モーツァルト交響曲第35番《ハフナー》
  2. ストラヴィンスキー:協奏曲《ダンバートンオークス
  3. ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
  4. (アンコール)J.S.バッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番よりGrave

ヴァイオリン独奏:セルゲイ・ハチャトゥリャン(代役)
指揮:ルドルフ・バルシャイ(代役)

 まずデュトワが健康上の理由(リュウマチ悪化?)でキャンセル、次にズナイダーも体調不良(インフルエンザ?)で来日不能、最後に、練習入ってからヤナーチェクバルシャイの意向で変更されてしまった。当初予定はもはや原形をとどめていない。しかし、この期に及んでもチケット払い戻しには応じなかったようだ。そんなNHK交響楽団は、明白に奢っている。サントリーホール開館記念時のベルリン・フィル、昨年のウィーン・フィルは、指揮者交代時に払い戻しに応じたことを強調しておきたい。
 演奏内容について。
 《ハフナー》は、開始した瞬間から「つ、つまんNEEEEEEEEEEEEEEEEE!」という感じ。各楽器はかっちり弾けていたが、オケ全体のサウンドが混濁しているのはどういうことだ。解釈的にも、かっちり弾くことしか眼中になく、リズムやニュアンスまで手が回っていない。色々アクシデントに見舞われた演奏会とはいえ、本日私の眼前で展開された演奏をゴミと断ずるに、私は何の躊躇もない。
 チケット購入時最大のお目当て《ダンバートンオークス》は、一転して楽しめた。編成が小さいからか、響きが濁ることもなく、なかなか快活で愉快な演奏であった。会場の拍手も大きかったように思う。もちろん、これがデュトワであったならという無念は付いて回る。
 ヴァイオリン協奏曲は、オケの序奏が《ハフナー》と同様、まさに屑で、もうどうしようもなかった。UBSヴァルビエ・フェスティヴァル・オーケストラを指揮して、同じ曲でヴェンゲーロフを素晴らしくサポートしていたデュトワの記憶が新しい中、失われたものの大きさを思う。ハチャトゥリャンは、去年5月来日公演以上に、細身の演奏だがその分色々と冴え渡る、素晴らしい演奏を披露。ヴェンゲーロフには迫力負けしていたが、今後自分の方向性を突き詰めたら、ハチャトゥリャンは間違いなく《世界最高》の一人になれると思う。それだけに、オケが足を引っ張っていたのは残念(管とかは段々ノッて来てたけど)。
 総じて金と時間の無駄遣いであった。まあこういう日もあるやね。