不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

二廃人/江戸川乱歩

江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)

 温泉宿で対話する二人の男。一方の過去が語られた時、もう一方は意外な意見を口にする……。

 「二廃人」のタイトルが示すように、登場人物二名はいずれも廃人らしい雰囲気を漂わせ、いい味を出している。着目すべきはラストの一行で、こういう感慨を登場人物に抱かせるのは、やはり乱歩を置いて他にはないと思う。さすが暇人。いくら過去の出来事とはいえ、自分の不幸でさえネタ化するとは! 私には全く無理な相談である。私が異常なのか、乱歩が異常なのか。
 ミステリ的なネタは可もなく不可もなし(そんなにうまく行くものか、という突っ込みは可能)。