不壊の槍は折られましたが、何か?

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グリフィンの年/D・W・ジョーンズ

グリフィンの年 (創元推理文庫)

グリフィンの年 (創元推理文庫)

 『ダークホルムの闇の君』の続編である。そして今度はキャンパス・ライフもの。無論魔法世界の話なので、王子や姫はおろか、ドワーフにグリフィンといった変な奴らも学生に紛れ込んでいるが。

 前作と変わらず、地の文は私にとって魅力ではないが、活き活きとした登場人物たちの言動は素晴らしい。人物の描き分けには少々難があるものの、作者の描く彼らの姿はかなり魅力的で、楽しいひと時が過ごせた。久しぶりに、「彼らのその後が知りたい」と思わされ、作者の力量に感じ入る次第である。だが今のところ、このシリーズは〈二部作〉なので『グリフィンの年』で終わってしまう。残念だが、これでいいのかも知れぬ。ダラダラ延びるよりは。