不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

QED 六歌仙の暗号/高田崇史

QED 六歌仙の暗号 (講談社ノベルス)

QED 六歌仙の暗号 (講談社ノベルス)

 「きのどくに」はちょっと退いた。何ですかそれは。くしゃみにも退いた。何ですかそれは。
 人物描写に特に秀でているとも思えないし、トリックも秀逸とは思わない。トンでも歴史ものと、ミステリの融合はそれほどうまいとは思わない。物語の起伏もあんまり付いておらず、悲劇的な色合いも筋の割には薄い。レギュラー人物はよく考えてみれば頭悪い言動を繰り返しつつ、突っ込む気にならないほど影が薄い。
 でもなぜか嫌いになれないんだよなあ。不思議である。この秘密はいつか自分なりにキッチリ説明を付けたいと思う。あるいは、私の読書嗜好が、太古の昔(それこそリアル厨房の頃にまで! 島田荘司綾辻らを絶賛していたあの頃にまで!)のそれへと退化してしまったのか。あり得るよなあ。数ヶ月、ほとんど小説に触れてなかったからなあ。