幸運は誰に?/カール・ハイアセン
- 作者: カールハイアセン,Carl Hiaasen,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 文庫
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基本的に、ドラマが展開されるのは、以上で述べた粗筋の延長線上に限られる。意外な事実が出て来たり、これ以上にスケールが急拡大するといったことはない。寓意や風刺性もほとんど感じられず、エンターテインメントに徹しているのだが、ページを割いて各キャラをしっかり作り込んでいる。『幸福は誰に?』の登場人物は、色々無茶をやる一方で、笑劇におけるありがちな人物造形には当てはまらず、それなりの迫真性(バカだけど)を獲得している。この裏付となるのが、先述のキャラの作り込みであり、この作品に安定性をもたらしている最大のファクターと思料される。プロットが堅実(ただし一本にはまとまらない)であることもあり、読者は、血の通ったバカキャラが繰り広げるドラマをただ楽しめば良いだけなのだ。つまり、こんなに無茶でおバカな話であるにもかかわらず、終始安心して読める。バカをやるのも堅牢に、ということか。最後に、喜国雅彦画伯のカバーイラストを称揚しておきたい。上下巻にわたり、主要キャスト揃い踏み。実に素晴らしい。
そんなこんなで、バカ話が大好きな人には強くお薦め。