不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

NHK交響楽団第1930回定期演奏会

5年以上の間が空きましたが、久々の更新です。

2020年1月12日(日)
NHKホール:15時〜

  1. マーラー交響曲第2番ハ短調《復活》

 

 前日11日のネット上での評判が、特にアンサンブルについて否定的だったのでビクビクしながら行ったのですが、今日は特に問題なしでした。もちろん若干のミスはありましたが、アンサンブル大で崩れる場面はほとんどなかったように思います。第1楽章もばっちり。
 演奏は素晴らしいもの。テンポを伸縮させるエッシェンバッハの音楽作りにオーケストラがよく食らいついていました。熱っぽくも、ぶよぶよした感触が、最初から最後まで貫徹されていて、しかもオケの鳴り自体は非常にいいので、聴き応え満点です。常に音が暖かいのも特徴でした。白眉は第2楽章と第3楽章だったのではないでしょうか。弦の分厚さが印象的です。声楽は藤村さんが流石の出来栄え。新国立劇場合唱団は、この団体らしく、精度よりも厚みで聴かせる(精度が悪いと言っているわけじゃないですが、優先順位は明らかに厚みだったというニュアンスです)。エッシェンバッハの芸風に合っていたと思います。モンタルヴォは初めて聴きましたが、特段悪くもないんですが、藤村さんに比べると位負けもいいところで、耳をそばだたせる瞬間も皆無、正直いなくても良かった。急な代役なのでこれ以上は責めません。
 いずれにせよ、エッシェンバッハの芸風が非常に面白く聞けました。このぶよぶよの果てには、フルトヴェングラーがいる気がするんだよなあ。彼がマーラー交響曲を振っていたらこうなったんじゃないか、と思ったり思わなかったり。ま、妄想です。