不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

殺人展示室/P.D.ジェイムズ

殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: P.D.ジェイムズ,青木久恵出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/02/17メディア: 新書購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (19件) を見る いつも通り、お腹一杯の読書体験。物語としては非常に堅牢…

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調Op.90《イタリア》 ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮) 神。……の一言で済ますつもりだったが、敬虔なキリスト教徒であるブロムシュテットは、神と呼ばれることを好むまい。だから、…

ハーゲン・クァルテット

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番イ短調Op.132 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調Op.131 ルーカス・ハーゲン(1st.ヴァイオリン) ライナー・シュミット(2nd.ヴァイオリン) アイリス・ハーゲン(ヴィオラ) クレメンス・ハーゲン(チェロ) …

ハーゲン・クァルテット

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番変ホ長調Op.127 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番ヘ長調Op.135 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番変ロ長調Op.130(第1楽章〜第5楽章) ベートーヴェン:大フーガOp.133 ルーカス・ハーゲン(1st.ヴァイオリン) ライ…

音楽の力

金聖響がこんなことを書いている。 金聖響に対して「クラシックは詰まらん」と言い放つ人間は、確かに食わず嫌いなだけかも知れない。しかし断言するが、私に対する「クラシックは退屈」「クラシックは難しくてよくわからない」「クラシックの演奏会に行くに…

シシリーは消えた/アントニイ・バークリー

シシリーは消えた (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)作者: アントニイバークリー,Anthony Berkeley,森英俊出版社/メーカー: 原書房発売日: 2005/02/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (17件) を見る いつもの皮肉は影を潜めている。代…

鬼の言葉/江戸川乱歩

江戸川乱歩全集 第25巻 鬼の言葉 (光文社文庫)作者: 江戸川乱歩出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/02/10メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (8件) を見る 乱歩の探偵小説論集。個人的に乱歩の探偵小説論には付き合いきれない。当時の社会…

プリーストリー氏の問題/A.B.コックス

プリーストリー氏の問題 (晶文社ミステリ)作者: A.B.コックス,小林晋出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2004/12/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (15件) を見る バークリーの皮肉が隅々まで行き渡りつつ、しかし本筋においては明るく楽…

悪徳警官はくたばらない/デイヴィッド・ローゼンフェルト

悪徳警官はくたばらない (文春文庫)作者: デイヴィッドローゼンフェルト,David Rosenfelt,白石朗出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/02メディア: 文庫この商品を含むブログ (10件) を見る 『弁護士は奇策で勝負する』に続く、シリーズ第二弾。ミステリと…

ベルリン・シュターツカペレ

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.19 マーラー:交響曲第7番ホ短調 ダニエル・バレンボイム(ピアノ&指揮) ベートーヴェンのピアノ協奏曲中もっとも「かわいい」曲を、スケール豊かに表現しいていたのは、守旧派たるバレンボイムの面目躍如た…

ベルリン・シュターツカペレ

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58 (アンコール)シューベルト:即興曲D.935第2番変イ長調 シューマン:交響曲第4番ニ短調Op.120 (アンコール)マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調より第4楽章(アダージェット) ダニエル・バレンボイム(ピアノ&…

NHK交響楽団

R.シュトラウス:歌劇《カプリッチョ》Op.85より《月光の音楽》 R.シュトラウス:歌劇《インテルメッツォ》Op.72より4つの交響的間奏曲 シェック:ホルン協奏曲Op.65 ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲Op.56a 松崎裕(ホルン) ジャナンドレア・ノセ…

雨恋/松尾由美

雨恋作者: 松尾由美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/01/26メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (46件) を見る 恋愛小説2連発。ただし『雨恋』はミステリ仕立て、しかも幽霊が出て来る。 大森望が言うように、確かにラスト数ページが話…

赤い竪琴/津原泰水

赤い竪琴作者: 津原泰水出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/01/26メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (51件) を見る 津原泰水は、どちらかと言えば幻想小説家であり、アブノーマルな情景と情感に溢れた作品ばかり書いているようなイメー…

ユージニア/恩田陸

ユージニア作者: 恩田陸出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/02/03メディア: 単行本 クリック: 22回この商品を含むブログ (238件) を見る 恩田陸は、途中までは傑作、という作品をよく書く。雰囲気の盛り上げは非常にうまいのだが、盛り上げに盛り上げ、…

羊の秘/霞流一

羊の秘 (ノン・ノベル)作者: 霞流一出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2005/02メディア: 新書この商品を含むブログ (24件) を見る ミステリとしての骨格は相変わらずしっかり作り込んでおり、謎、トリック、ロジックいずれも完成度が高い。伏線の回収も見事、…

最後の一壜/スタンリイ・エリン

最後の一壜 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: スタンリイエリン,仁賀克雄出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/01/14メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (26件) を見る エリン最新の、そして恐らく最後になるであろう(ガセでごぜえや…

冥い天使のための音楽/倉阪鬼一郎

冥い天使のための音楽 (ミステリー・リーグ)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 原書房発売日: 2005/01/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 長編小説ではしばしば、散文詩的なパートが挿入され、(ミステリの場合)犯行シーンやら犯人の妄…

ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル

J.S.バッハ:マタイ受難曲BWV.244 谷村由美子(ソプラノ独唱) カルロス・メナ(カウンターテノール独唱) イヴ・セレンス(テノール独唱) ピーター・ハーヴェイ(バリトン独唱&ユダ、ペテロ、ピラト) マルコス・フィンク(バリトン:イエス) クリストフ…

オーケストラ・リベラ・クラシカ

ハイドン:交響曲第22番変ホ長調《哲学者》 ボッケリーニ:チェロ協奏曲ト長調G.480 (アンコール)ボッケリーニ:チェロ協奏曲変ロ長調(作品番号わからん……)より第三楽章 ハイドン:交響曲第64番イ長調《時の移ろい》 (アンコール)ハイドン:交響曲第23…

ラス・マンチャス通信/平山瑞穂

ラス・マンチャス通信作者: 平山瑞穂出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2004/12/21メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 47回この商品を含むブログ (112件) を見る 第16回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。帯の本文引用が全てを物語る。 僕は常に正しく行動…

月読/太田忠司

月読(つくよみ) (本格ミステリ・マスターズ)作者: 太田忠司出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/01メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (38件) を見る 人が死ぬと必ず、何らかの不思議な物体や事象が残される。これを称して《月導》と呼…

ラザール・ベルマン死去

享年71。黙祷。

聖なる怪物/ドナルド・E・ウェストレイク

聖なる怪物 (文春文庫)作者: ドナルド・E.ウェストレイク,木村二郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/01メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (12件) を見る 薬物漬けの俳優が語る、自らの半生。冒頭から怪しさ爆裂、インタビュアーの正体…

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

シューベルト:交響曲第7番ロ短調D.759《未完成》 シューベルト:交響曲第8番ハ長調D.959《ザ・グレート》 (アンコール)シューベルト:《ロザムンデ》D.797より第一幕前奏曲 飯守泰次郎(指揮) 出だしの一音から充実した演奏となった。特に目新しいことも…

読売日本交響楽団

ショパン:夜想曲第10番変イ長調Op.32-2(ストラヴィンスキー編) ショパン:ワルツ第1番変ホ長調Op.18《華麗なる大円舞曲》(ストラヴィンスキー編) グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調Op.16 チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調Op.74《悲愴》 犬飼新之介(ピ…

QED鬼の城伝説/高田崇史

QED 鬼の城伝説 (講談社ノベルス)作者: 高田崇史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/01/14メディア: 新書 クリック: 21回この商品を含むブログ (73件) を見る 題名から内容が察せられるわけだが、実際その通りで、節分に豆を撒いて鬼は外とやるのはおかし…

盲獣/江戸川乱歩

江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男 (光文社文庫)作者: 江戸川乱歩出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/01/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (37件) を見る ミステリ的な要素はほとんど排され、ただひたすら触覚に拘る、視覚…

四畳半神話体系/森見登美彦

四畳半神話大系作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2004/12メディア: 単行本購入: 17人 クリック: 1,270回この商品を含むブログ (323件) を見る 前作のデビュー作『太陽の塔』はファンタジー臭が薄かったが、今回はページを手繰るに従って「…